こだわりの専用ツールを詳しく解説:ワイヤーカッター編

オニックスワイヤーカッターはオニックスワイヤー®を切断するためのツールとして特注で設計製作されました。ワイヤーの素材であるニッケルチタン合金は極めて硬く、通常ニッパーなら一度で刃こぼれしてしまうため超硬刃の特殊な刃先が必要です。実は巻爪矯正に要求されるのはそれだけではありません。臨床現場の声を反映させた理想のワイヤーカッターに要求された仕様は次のようなものでした
・φ0.5mmのニッケルチタンワイヤーを切断する切断能力をもつこと。これは同径のピアノ線(炭素鋼硬鋼線)を切断できる性能に匹敵します。
・ヘッドが薄くコンパクトであること。爪の下という狭くデリケートな場所で正確に切断するために必須の要求。切断能力と相反するためそれらの両立は困難な課題です。
・切断端が極力短く、断面に乱れが生じることなく切断出来ること。ワイヤー切断端が皮膚を傷つけることがないように必要な仕様。これも切断能力と相反する要求です。
・最先端部分を使ってもワイヤーを切断できること。通常の切断だけではなく、ワイヤーを外す際に使う構造的に弱い刃先の先端部分の切断能力も要求されます。
・素材は総金属であることこと。繰り返しの滅菌処置に耐えるために樹脂パーツは使えません。清潔に管理する必要のある医療現場ならではの要求です。
これら全てを同時に満たす刃物を市場には存在しないため汎用品で流用出来るものは一つもありませんでした。数社に特注製作を打診しましたが要求された仕様の厳しさと特注の少量生産であることから対応出来ないと全て断られました。たった一社だけ、大阪府堺市の老舗刃物メーカーで仕様を満たす技術をもっているところが見つかりました。もしここに断られたらツールキット全体の発売を見合わせようと思い詰めた当社代表が熱意を持ってお願いしたところ、今後医療分野に貢献していきたいというメーカーの方針が当社の希望と一致して特注製作を受けてくれることになりました。材質、耐久性、特殊な使用状況に対応出来る刃先形状など詳細について担当者と何度も打合せを重ね、数点の試作品で臨床テストを行ったのちに誕生したのがオニックスワイヤーカッターなのです。その特徴は以下の通りです。
- ロックウェル硬さHRC76という最高レベルの超硬刃を採用した刃先。チタンワイヤーを多数切断しても刃こぼれしない高い耐久性があります。
- 非常に薄く小さくデザインされたヘッドで仕上げも滑らかです。強靱でありながら狭いスペースで正確に切断できます。患者さんに不快感を与えません。
- セミフラッシュ刃を採用。切断端が短くほぼ平らで突出が最小限です。
- 先端に向かって緩やかなカーブをもつラウンドデザイン。この形状により最先端部分での剛性が充分確保され一丁でワイヤー装着からオフまでこなします。
- 精密ベアリングを内蔵したカシメ。刃の合わせ精度とスムーズな動きを長期間維持します。
- 磨き仕上げのグリップ。医療現場での清潔管理に適しています。
ワイヤーカッターの超硬刃は耐久性に優れますが熱に対してデリケートなため滅菌する場合はオートクレーブによる高圧蒸気滅菌ではなくEOGガスまたは30分間のエタノール浸漬滅菌をお勧めします。保管環境により本体部分にサビやクモリが出ることがございますが切断性能には影響しません。特殊刃のため研ぎなおしはできませんが長期間使用によるカシメのガタやコイルバネの破断には有料メンテナンスと補修パーツで対応いたしますので長くご愛用いただけます。